左の写真は挽き終わっての記念写真です。中央大鋸を持っている方が林氏です。その左が「勘兵衛」で舟大工の親方です。
林氏の右が後継者のお弟子さん、その右は私です。

 P11にも掲載していますが、「勘兵衛」さんの話しでは木挽きさんの挽いた板は「カンナのかかりがいい!」と云ってます。これは私の想像ですが、機械挽きだと熱で木の油成分が飛んでしまい、カンナの滑りが悪くなるのではないかと思います。

 いづれにしても舟大工の作業を考えると、木挽きさんが挽いた杉材のほうがいい!と感じます。
 時々、作業を中断して鋸の目立てをします。この目立ての作業が鋸の切れ味を決めますし、作業効率を左右します。林氏は今日ほとんど見られなくなった木挽きの技術を受け継ぐ一人として大鋸の修復・普及にも取り組んでおります。

 残念ながらこの新たな大鋸の製造をしているところは現在ありません。目立ての道具で重要な工具であるヤスリも種類が減っており、刃焼きを入れてもらう鍛冶屋に至っては残り一軒となってしまいました。
 木挽きと大鋸を取り巻く環境は厳しいものとなっていますが、それでも大鋸は古い蔵や材木屋の倉庫などにまだまだ多く眠っているそうです。
林氏は大きな材を扱う宮大工や伝統工法の屋大工など、大鋸の役立つ場はまだあると考え、大鋸の復興を願って扱い方の伝承も行なっているそうです。
 右の写真を見て下さい。林氏はちょっと変わったイスに腰掛け、鋸を挽いています。コレってよく見ていると、腕で鋸を挽いているのではなく、体全体で挽くので腰とイスが一体で前後に動いていました。そういうコトなんです。この姿勢で丸二日間でした。大変な作業だっ!
 手前は上と下で随分スキマが空いてますネッ。クサビが何カ所かに入っていますが、クサビに掛かる荷重を均等にする為、手前ほどスキマが大きくなります。・・と私は判断していますがいかがでしょうか?
 

参考文献:1993年 浦安市教育委員会発行「浦安のベカ舟」

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浦安舟大工技術保存会 P14 

 

 で、この一連の作業は実はこれで終わりではなく、機械挽きするための作業なんです。昔は「仮屋」・・(舟を作るための作業小屋)のそばで一枚一枚挽いていたんですね。
 この二つに挽いた材料を再びトレーラーに乗せ、甲府の製材所まで運んで必要な厚さに機械挽きをしてもらったのです。