今年の年末年始は飛騨高山在住の次男宅で過ごしました。
晦日から正月三日まで雪が降り続き、久しぶりの雪中での正月となりました。年末の30日、地元での珍しい行事に遭遇しましたので紹介します。

 高山市国府町木曽垣内(次男宅から徒歩10分)には、飛騨八社のひとつに数えられる、古社「阿多由太神社」があリます。
 この神社の本殿は、室町時代初期に建立されたといわれており1961年には、国の重要文化財に指定されています。
 場所はJR高山線国府駅から北にほば1kmほど行った山のふもと。道路脇にある大きく重厚な島居をくぐると、長い参道があリ、その先には赤い欄干を持つ長く風雅な橋があリます。橋の下には荒城川と呼ばれる清流が静かに流れています。

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「阿多由太神社」のみそぎ行事


年末の珍しい行事と遭遇しました。

 この荒城川のたもとでは人形(ひとがた)と呼ばれる紙片を流しつつ、下帯姿になった男女がいっせいに川に入って身を清めるという「みそぎ行事」が行われます。
 人形(ひとがた)とは、その名が示す通リ、人のかたちを模したもので、人の「身代わり」といった意味を持っています。その表面にはこの地域に住む人、あるいはゆかリのある人の名前が大書されておリ、名を記した当人の息が吹きかけられています。次男宅でも家族分を用意し、前日に氏子総代宅まで持ち込みました。
 こうして用意されたたくさんの人形を、一年の罪や汚れを払うという願いを込めて、この行事に参加している人達により、
冷たく澄んだ冬の荒城川に流します。

 時を同じくして、希望者から成る20人ほどの人たちが、本殿にてお祓いを受けます。お祓いのあと全員で川のふちまで行き、
そこでリーダーの号令で準備体操をします。それから極寒のなか清流に入リ、白く曇る息を弾ませながら身を清めます。
 この雪の中、見ているだけで身も凍ります!

 この日の水温は1.5℃、外気温は2.5℃でした。完全防寒で身を固めた私でも震えている中、21人の参加者(うち女性は1名30歳)は男性は褌ひとつ、女性は襦袢のかっこうで腰まで荒城川に入ります。
 10分くらいの時間で身を清めてから川から上がってきます。中には鼻水をズルズル垂らしている人もいます。全員が腰から下は真っ赤になっています。

 それから本殿手前の鳥居をくぐります。これを輪くぐりと云ってました。左右2回くぐって終了です。それから社務所に戻ります。私は熱い風呂にでも入ってから帰る・・と思って「これから風呂ですか?」ときいたら「いいえ、着替えて帰ります」って。

本殿でのお祓いです。

 年末の神事は各地域にさまざまなかたちで残っていますが、冬のさなかにふんどし姿の男たちをはじめとする一群の男女が、いっせいにみそぎをするといった神事は、飛騨においてはここ国府町にしかなく、一年の終わリを締めくくる、この地域独特の風習として、今も伝えられているんですね。浦安に住んでいる私にとっては貴重な体験でした。